ネイルサロン No Nail 横浜店店長 高野 英美さん
ネイリストとして第一歩を歩み始め、1年半後、20歳前後で店長になり、次世代のエースとして頭角を見せるネイリストがいる…そんな話を聞き、向かったのはNo Nail横浜店。見れば、本当にかわいらしく、でもしっかりと芯の強そうな表情でインタビューに答えてくださったその人が、噂の店長、高野英美さん。ネイリストとなってからもまだ2年弱。まだ始まったばかりのそのキャリアの中でも、めいっぱいの情熱を傾けて今があること、お話を通して感じたのは、そんな秘めたるネイリストとしての「熱」でした。成人して間もない彼女はいったいどのようにして仕事と向かい合い、挑戦しているのか、若い年代の多いネイリストさんにこそ、ぜひ読んで頂きたいインタビューです。
高校卒業後、美容専門学校を経てネイルサロンへ就職
高校卒業後、美容専門学校へ入学されたということでしたが美容業界での将来を選んだきっかけは?
高校を卒業する時は就職か進学かを迷いました。ただ、当時はまだ明確な夢も持っていなかったのと、周りの子と同じように大学へ進学して4年間をやりたいことを見つけるために“とりあえず大学へ進学”という流れに乗るのも嫌だなとも思っていたこともあり、アパレル業界へ就職するか、専門学校へ入るかに絞ったんです。結果、美容の専門学校へ入学し、美容師免許を取得しました。
美容師免許を取得されたにも関わらず、美容師ではなくネイリストとして働くことを選んだのはなぜですか?
美容師免許は、美容師としてはもちろん、それ以外でも、まつ毛エクステなど将来を決める選択肢が増えるな、ということで取得したんです。もちろん好きなジャンルでしたが、就職活動で、再びやりたいことと向きあうことになった時、美容師よりもネイリストという職業に惹かれたんですよね。昔からネイルは好きで、セルフネイルはもちろん、ネイルサロンにも通っていた背景もありましたし、ネイルは色々なデザインもカラーも何通りもあって、自分の思い通りの施術ができるのも魅力的でした。そこでネイル業界への就職を決めたんです。
現在のサロンに就職した決め手と、高野さんが思う自分に合う職場の見つけ方を教えてください。
今のサロンに応募したきっかけは求人ページのギャラリーにあった写真でした。社員旅行のものと一緒に、サロンスタッフ全員が赤いネイルを輪の構図で撮影した写真が目につき、まとまった1つの思いを感じて素敵だなと思ったんです。ほぼ直感のようではありましたが、そうは言ってもここに決めた私なりの理由はちゃんとあるんです。言葉で表現するのは難しいのですが、2次面接をしてくれたオーナーの、熱い思いを感じたのが決め手ですね。抽象的な言い方ですが、私はバイト先を決めるときでも会社より人を見て決めてきました。どんな人が経営しているのか、一緒に働くメンバーはどんな人たちなのか、とにかく人の雰囲気を最優先にしてきて、それで失敗したことがありません。経験上、そこでの出会いはいつも大事なものになり、どんな職種でも、熱い思いをもった人がいる会社って失敗しないな、と。この直感は外したことがないので、他サロンを見るまでもなく、ここに就職したいと思いました。
専門学校卒業後、現在の会社へ就職。サロン業務未経験からの道のりは?
サロン入社時はネイリストとしての経験はなかったわけですよね?入社してからお客様を担当するまではどのような流れでしたか?
そうなんです。専門学校ではネイルの授業というのは選択授業で取れるというくらいで専門的にやってはいなかったんですよ。だから入社してから1週間くらいはまずモデルさんで施術の練習をしていました。お客さんというわけではないのですがそれでももうドキドキでしたね。最初の頃にモデルさんに施術した写真を見てみると結構ひどいです(笑)
ある程度モデルさんでの施術を積んだら、店舗配属のためのテストを受けます。私がモデルさんで練習させてもらった期間は合計2ヶ月間くらいで、入社して3ヶ月目に店舗に配属されました。
テストの内容はどのようなものだったのですか?
テストの内容は、主にお客様に施術ができるくらいのクオリティかを図ることが目的で、接客パートは少しだけでした。モデルさんの施術に入るまではスクールで学んだ知識しかないので入社後はサロンで技術研修がありました。このサロンはネイリストとしての技術を教育してくれるトレーナーさんがいるんですが、そのトレーナーさんにはもう本当に最初の段階の爪を削るやり方から教えていただきました。あとはお店のマニュアルがあるので、それを一通り全部覚えるという流れですね。
トレーナーさんがいたということですが、研修期間、上達のために意識していたことなどがあれば教えてください。
これは誰でも同じかなと思うのですが、とにかくひたすら毎日練習練習ですね。モデルさんに施術した写真をトレーナーさんに送り、アドバイスをいただきます。例えばここを直した方がいいとか、この間の施術は時間がかかりすぎて遅いからそれを改善するためにはどうしたらいいか、など細かく教えてくれるのですが、私はひたすら「言われたことをきちんと直そう!」という事をかなり意識しましたね。“注意を受けたことはすぐに直す=先延ばしにしない”ということです。同時に、「自主練の時間」をあまり取らないと決めていました。極端な言い方なのですが、実際やらなかった、というわけではなく、「自主練の時間がある」と考えてしまうと結局その場での「身につける」という気持ちが弱くなってしまうんです。だから『居残りも絶対にしない!』という気持ちで常に時間内で技術が身に付くよう、かなり集中してやっていました。
結果的にこの追い込み型でストイックに練習する癖をつけたことが私にとってはいい結果を生んだんです。自由に使える時間もないとモチベーションも保てなくなってしまいますし、休みは休みでしっかりとって、その分、やるべきことを時間内に集中してしっかりやる!というやり方が私には合っていました。
「時間内にやりきる!」と決めて行動できる集中力そのものが才能のような気がしますね。
入社後のトレーニング期間からキャリアアップの流れはどのようなものなのでしょうか。
この会社は入社当初はアルバイトとして働きます。テストに合格後店舗配属から半年後に社員になるかアルバイトになるかを決める面談があるのでそこで働き方を選びます。さらに半年たつと今度は主任になれる機会があるんですね。そこから最低3ヶ月間は主任を継続することが決まっているんです。つまりその主任の3ヶ月間がテスト期間のようなもので、ここから先に進めるようであれば、店舗配属になって最短で1年半ほどで店長になれる仕組みなんです。
店長就任という目標を、最短で見事達成!
会社の仕組みとしてもキャリアアップを支援してくれている中だとしても、高野さんの経歴をみるとかなりのハイペースキャリアを積まれていますよね。
私の場合入社から3ヶ月で店舗配属になり、店舗配属から5ヶ月目に主任になりました。
店長になったのは、タイミングがよかったことも大きくて、私が主任になってから4ヶ月ほど経ったころ、以前の横浜店の店長さんから「町田店に異動になるから頑張って!」と言われ笑、そのまま、勤続年数が当時一番長かった私がそのまま店長へなったんです。
実はここの会社の募集を見たとき、「平均2年で店長になれます」って書いてあったんですよね。ただ、「平均2年」じゃないですか、だから私は「この会社のネイリストの平均よりもっと早く店長になりたい!」って思ったんです。平均を超えてやろう!って(笑)それを意識していたというのはありますね。たくさんある求人の中からこのサロン選んだのも、オーナーとの面談でも、このキーワードの裏にある熱を感じられたからともいえます。もちろん、役職も売り上げも、やったらやった分だけ稼げるシステムにもなっていますし、どうせ働くなら評価としてつながる会社で結果を残したい!そんな思いも、私の強いモチベーションにつながりました。
ちなみに、先ほどはタイミングがよかったから、とも謙遜されていましたが、実際、高野さんが店長就任を任されたのは他のスタッフさんよりリピート率が格段に高かったからというのもお聞きしてますが?
確かに、リピート率は高かったんです。でも当時、私個人的にはリピート率を上げることよりも指名数が上がる方が嬉しいなと思っていたんですけれども笑。これには理由があるんです。実は、私が店舗に配属された時の直属の上司からも、当初「指名数はこだわらなくていい」って言われていたんですよね。リピート率の方を意識してということで。ただ、その当時の店長(今のエリアマネージャー)の指名数が抜群に高くて、近くで見ているうちに「私もあの人の指名数に追いつきたい!抜かしたい!!」という気持ちがムクムクと。その目標を得てからは、とにかく指名を獲得するために無我夢中でがんばったんです。
例えば、指名をしてもらえるように、一度来てくれたお客様の話した内容や、施術内容を会社で管理できるカルテに記録し、次のご来店の時にその情報を使って会話を広げるようにしていました。「あなたのこと覚えていますよ!」と気持ちが伝わるように意識しながら。日々、これを繰り返しつつ、指名数を上げることを意識していたら、結果的にリピーター率も自然と上がっていたというわけなんです。
会社でカルテの管理をしていたということはどのスタッフも同じことはしていたわけですよね。それでも高野さんがずば抜けてリピート率を上げていた秘密が知りたいです!
これはやはり接客への気持ちかもしれません。お客様にはよく「砕けてるから話しやすい!」と言って頂いております。ネイルサロンというと、やはり最初の方はちょっとハードルが高く感じたりするものですよね。でも、こちらが、少し緊張の殻を破ってあげるきっかけをあげられれば、お客様も緊張しないし話しやすい雰囲気は作れるかなと。この接客技術は居酒屋で4~5年のキャリアを積んだアルバイト時代の経験が生きていると思います。当時アルバイトしていた居酒屋の接客は独特で、飲んでるお客様に自ら話しかけに行く!というのが当たり前だったんですよね。これは、若いからこそ怖いもの知らずで当時はできていたんですが、考えてみれば、初対面の人とのコミュニケーションを取るのも慣れましたし、むしろ5年もやればベテランでした笑。もともと自分自身、兄弟が多く、その中でも一番年下だったので、小さい時から上の世代の方と話すことに全く抵抗がないという幸運なバックグラウンドもあるかと思います。そういう意味では、小さい頃やアルバイトの経験が今の仕事にすごく生きていて、つながっている感はありますね。
負けたくない!という気持ちと持ち前の接客力がリピート率につながったという訳ですね!
そうですね。だた、負けたくない、平均を超えたい!という気持ちは強くありましたが、店長なりたい!ということを常に意識していたというよりは毎日1日1日を精一杯過ごしていた、という方がしっくりきますね。施術の時は例えば約1時間という中で、いかにお客様に満足してもらうか、指名をもらうためにはどうしたらいいかというのを体の隅々で意識していましたし、本当に毎日必死にネイルと向き合っているんです。ある意味これは店長になった今でも変わらないんですが、気づいたら1日が終わっているという状況なんですよね。
店長就任後に感じたやりがいと大変さ
実際に店長就任が決まった時からの流れはどうでしたか?
そうですね。ただ、「やったー!」と手放しで喜ぶというよりは、嬉しい中でも、プレッシャーはかなり感じつつスタートしました。今までの店長はみんな一人一人に指示を出してくれてたり、いろいろ面倒を見てくれてもいたので、突然店長が変わることで他のスタッフも不安を感じていたのではないかと思います。でもこうなったら私は私のやり方で店舗を作って行こうと思いました。だからあえて他のスタッフ一人一人に「こうしてほしい」っていうのは言わなかったんです。個々で動くより、みんなで協力しながら、サロン全体で仲の良い雰囲気を作っていきたいなと思ったからです。
現在店長という立場で行う仕事内容とは?
店長といっても私も現場に出て施術をしています。加えて、店舗全体の状況把握と新人スタッフの育成も仕事のうち。今の店舗では「シスター制度」というものがあるんです。これは会社としても新人を育てていこうという流れでできたのですが、新人スタッフと店長や主任がペアになり、一対一でスタッフの育成をしていくというものです。接客や技術も見つつ、個人面談もまめに行い、最近の様子や悩みなどの話を直接聞いて、新人スタッフが働きにくいところがないかなどを把握できるようにしています。もちろんお客様からのクレームがあればそれをフォローしたり、ここは一身胴体ですね。「あとは任せて」というのを伝えておかないと、新人の子は特に気追ってしまう部分ではあるので、そういったメンタル面も含めて面倒をみています。
店長に就任してから感じたやりがい、苦労したことなどを教えてください。
やりがいを感じた!というか、嬉しいなと思うことがありました!オーナーを通して聞いたんですが、スタッフから「働きやすくなった」という声があったということです。
本当にこれは私が目指していたこと、こういう風にして行きたいなと思っていたことだったので、私がやって来たことは間違ってなかったんだ!と思えた瞬間はやはり一番「やってて良かった!」と実感したことですね。
大変だと思ったことは、例えば伝えたいことが一度では伝わらないとき。例えば「ここを直した方がいい」と言ったことが一度で直ればすごく簡単なことなんですが、みんな働いているので、忙しいし、忘れちゃうし、染み付いてしまっている癖はなかなか抜けないので何度も言い続けないといけないんですよね。でもやっぱり何度も言われるのはあまりいい気はしないじゃないですか。だからその時は伝え方を人や状況に合わせて変えるようにしたんです。そしたらそれだけで格段に伝わるようになりました。例えば紙に書いて渡したり、言い回しを変えてみたりして。特に伝え方に関しては勉強したりしてかなり気をつけていますね。あとは結果を見て欲しいスタッフと、課程を見て欲しいスタッフがいたりしますし。褒めることに関しても、思いっきり褒めて欲しスタッフと、ちょくちょく小出しにして褒める方が嬉しいスタッフというもあるので、私は人によってかなり分けています。店舗をまとめるって難しいなと実感しました。
店長になるという目標を達成した今、これから目指す事
今後はマネジメントの方をメインにしていきたいという事ですが、これからの計画とは?
今思っているのは育成をしていく力を身につけたいなということです。もともと店長を目指していたというのも、マネジメントに興味があった部分も大きいんです。私も、現段階では接客や施術などお客様と関わることが多いですが、ずっとプレイヤーとして働きたいというわけではなく、今後はスタッフ育成という立場からネイル業界に関わっていきたいとも思っています。例えば、新しく入ったスタッフたちが働きやすい環境を作ったり、自分以外のスタッフのリピーター率を上げる方法を考えたり。つまり個人数字ではない数字を上げていきたいんです。そして店舗自体を盛り上げていける立場の人を目指しています。
未経験からサロンへ就職し、店長になるという目標を達成したからこそ言えること
店長としてネイリストさんと関わる中で高野さんから見て、ネイリストを辞めてしまう子と続けていける子の違いとは?
それは働く働きやすい環境作りへ力を入れていかなくてはならないという部分もあるので、会社側の環境責任もあると思うのですが、ただ、単に辛いから辞めてしまう子もいますよね。何がつらいか?と聞いても、そういう子は、とにかくすべてが辛い、となってしまう。
でも、まだ言える子は踏ん張れます。今は辛いけど、ずっと頑張ることで辛くなくなる部分もあると思うんです。今は慣れていないし、やっていることは辛いと思ってしまうかもしれませんが諦めてしまうのは勿体無いと思うんですよね。途中で投げ出してしまう子は先が見えていないというか、先のことを考えないで今しか見えていないのかなと思います。せっかく今まで辛い研修でやってきて、店舗で働けるチャンスがあるのに辞めてしまうのはとってもたったいないですよ。一番辛いと思ったところであと少しだけ頑張ってみるということをしてほしいなと思います。
最後に今後ネイル業界を目指す方へメッセージをお願いします!
メッセージを!と言われるとちょっと照れくさいですね・・・!(笑)でも私から言えることは、自分がやりたいなとか、なりたいなと思ったものは、無理だなんて思わずにやってみるのがいいということですね!やりたいことって絶対死ぬまでにやった方がいいと思うんです。私は今「死ぬまでにやりたいこと100個」をノートに書き出すようにしているんです。人間てどうせ死んじゃうじゃないですか(笑)だから絶対色々なことに対してチャレンジをした方がいいんですよ!できないって思っていたとしてもです。もし結果としてダメだったとしてもやるだけやってみることが必要だと思うんです。今後ネイル業界を目指す人にもがむしゃらに頑張ってほしいなって思います!
一見、その若さと雰囲気から、天才型の特別なネイリストさんな気がしてしまう高野さんですが、直感の感性の鋭さ、正確さ、加えて引き寄せ力、話を聞いていくほどに、おそらくその直感は、重ねた努力、経験値があって培われたものなんだなと、納得させられるものがありました。インタビューを終えるころには、すっかり店長の顔。実際ここから、この若い人がどんな風なネイリスト人生を歩んでいくのか、将来がとても楽しみなネイリストさんがまた一人増えました。