NAIL EXPO2016 プロケア部門 第2位!ネイリスト歴15年松本幸子さんインタビュー

千駄木プライベートネイルサロン Lebjiou(ルビジュー):松本 幸子

仕事柄、数多くのネイリストさんに取材させて頂く機会は多いもの。その中でも特に、10年以上の経験を持つネイリストさんは、サロン勤務されていても独立の道を選んでいても、一時代を自分の足で切り開いてきた経験と、そこに裏打ちされた自信と実績があるものです。同時に、その道を切り開くための武者修行ヒストリーがあり、そこにはキャリアを積むためのサロン移転話も必ずついてくるもの。…そんな思い込みを、いい意味で大きく覆すキャリアの持ち主、それが今回インタビューさせて頂いた松本さん。ネイリストの道を歩み始めて15年というキャリアを聞くだけでもそう簡単なものではないはずですが、驚くべきはサロン勤務をする傍ら、コンテストにもずっとトライし続ける形でネイリストとしての自分を磨き続けてきたこと。結果的に昨年独立された彼女ですが、今までの経験の中で見えてきたものはいったいどんな景色なのか?「ネイリストとして成功するノウハウ」「大事なこと」「これからの展望」・・・さまざまな視点から色々とお聞きしました。

アパレル販売員から一念発起、1年でJNAネイル検定1級を取得!

ネイル業界に踏み入れるきっかけを教えてください。

高校時代はまさに「カリスマ店員」の黄金時代。実は私も高校卒業後すぐは、渋谷の109で働いたんです。たまたまお洋服とネイルが一緒になっているブランドで、私はお洋服の販売員だったんですが、当時の働き方や年功序列型の体制が合わず、やったらやった分だけ評価される業界、できれば技術職がいいな、という思いが膨らみました。そこで、店舗でも成長ぶりを目の当たりにしていたネイル業界へ進むことにしたんです。既にネイルスクールは多くあり、ピンときて最初に見学に行ったスクールでは運命の出会いが!実は当時の大人気番組「テレビチャンピオン」のネイリストチャンピオンで、私がかわいい!と思ったデザインを作ったネイリストさんがいたんです。こうなるともう迷いはなく、即決でしたね。

ネイルスクールに入学して1年目に、JNAネイル検定1級をとられていますよね?これにまずびっくりしました。

ネイル検定1級、これは一言で言うとものすごく頑張ったんです(笑)今とは違い、当時はJNAの検定試験が飛び級できた時代。スクールの先生に『授業の進み方からいうと2級だったら合格でも、1級はちょっとダメ元かな、頑張れるんだったら受けてみてもいいんじゃない?』って言われたことでスイッチが入りましたね。悔しくて、まず練習部屋を実家とは別のところに借りたんです。とはいっても優雅なものではありません。当時の付け爪はアクリルの匂いがすごくて、家の中だと練習もできなかったので、完全にネイル部屋です。学費などは自分で払っていたので、アルバイトの時だけ出て、あとは練習ですね。体一つで寝泊りしていました。自分の爪で練習するので人工爪が毎日付いていて、それを外す時だけ寝て、起きた時はずっと練習…という生活を1ヶ月くらい続けて。受かった時は嬉しかったですね。
秘訣ですか?うーん、結局技術を磨くスキルだけは、練習あるのみだと思うのと、当時の覚悟でしょうか(笑)。この時の覚悟は今もしっかり体にしみこんでいるんです。私の場合は、身を削って自分で部屋を借り、材料も惜しみなく使って貯金もほとんどなくなるくらい費やしていましたからね、『ここで合格しなかったらもうお金もない、後もない』と自分を追い込んでました。あのときストイックになれたことが、ある意味原点でもあり、今にもつながっていると思います。

努力が実り、1級合格となったところから実際にネイリストになるまでの道のりを教えてください。

実はネイリストとしてスタートするサロンは先生が準備してくださったんです。
というのも、JNA1級合格はさすがに先生もびっくりされたようで(笑)、急に就職先を見つけて来てくれたので、卒業前でしたが働き始めました。1級に合格したばかりの私にとって、実践の場をすぐに与えていただけたのはとにかく嬉しかったですし、私の性格を理解して、厳しいけど上下関係がしっかりしていて、きちんと評価される体制があるサロンを選んでくれた先生の存在は、ありがたかったですね。当時のスクールはどちらかというとサロンワークよりもコンテストでの賞の獲得を重視する傾向が強かったので、結局、就職してからはスクールは最低限で卒業してしまいましたが、コンテストで評価される技術と、サロンで必要なお客様中心の技術や臨機応変に対応する能力、それぞれを磨きたいと思ったのは当時のスクールでの教えもベースにあるかもしれません。

実質的な修行時代でも順調そのものだったんでしょうか?

まさか!そんなに簡単だったら良いんですけれど(笑)資格だけは努力と根性で勝ち取りましたが、実践となると、何の経験もない20歳そこそこの娘に何ができるわけでもなく。それでも無我夢中で進みながら日々試行錯誤しつつ、失敗して怒られて、また頑張って…を繰り返す日々でした。思えばこの最初の数年が一番苦しく、かつ一番成長した時期かもしれません。でも、不思議と迷いはなかったんですよね。段々と個人だけでなくチームとして動けるようにもなり、少し楽しくなってきたころ、売り上げとしても結果がついてくるようになってきました。今思えば、何も武器がなかったというのは嘘で、「うまくなりたい!結果を出したい!」という思いだけで走れたあの若さ、パワーこそ武器だったんだな、とも思うんです。“やれば結果が出る”という経験は、スクール時代に資格を取った成功体験も後押ししてくれましたし、結果としてはこの頃から、少しずついい形でつながり出したんだとも思います。

その自信がついてきた頃、同時にコンテストでの入賞もいくつか受賞されていますよね?このコンテストチャレンジは、新人時代からの目標でもあったとのことですが。

そうですね、無我夢中の時代では、余裕もありませんでしたし、チャレンジしても賞にもかすりませんでしたが、何年かたって少し手ごたえを感じ始めていた当時から、だんだんと海外のコンテストへ連れてってもらうようになりました。少しずつですが賞が取れるようになってきたころ、私の中で次のステップが見えてきたんです。

コンテストに出続けていた理由と、資格取得に励んだ時期

忙しい中でもコンテストに出続けていたのは、理由があるんですね?

はい、そうなんです。少し話が前後するのですが、私の中で、ネイリストとなった当初から漠然と「ネイリストとしての資格は全部取りたい!」という目標があったんですよね。とりわけ、人を教える資格だけは、最初実務経験も不十分なままでは受けることもできないなと思っていましたし、コンテストでも入賞するようになってからだな、という自分の中での線引きと決意もあったので、サロンワークとはまた少し違うコンテストの技も、休みなどを使って磨きながら機会を見ては出場し続けていたんです。
ですから、コンテストで賞として結果が出始めた頃、ネイリストとなって7年目くらいだったのですが、この時期から2年ほど時間をかけつつ、本部認定講師まで一気に5つほど資格を取得しました。もちろん、基本的には負けず嫌いだと思っているので、チャレンジするからにはやりとげたいという思いもありましたし、資格を取得すれば結果的に資格手当としてお給料も変わってくる部分もあったので、そこはモチベーションにも繋がる部分もありました。

そうはいっても、資格、コンテスト、通常業務とよく両立できていましたよね!

これは、両立というよりも、流れとしてうまくかみ合った、という方がいいかもしれません。ベースで大事にしていたのは日々の業務、これは譲れないものだったのでもちろん最優先。コンテストは、正直、その技術がお客様に繋がるかといえば違うと思う部分もありますし、どうしても自己満足の世界になってしまいがちです。長く仕事として続けていくのであれば、なおさらお客さまの存在はすごく大切で、現場から学ぶことがやはり一番だとも思っていたんです。このときは組織の中で取り組ませて頂いていたので、普段の業務に穴をあけられないという強い気持ちは当然ですよね。ですから、自分の中での優先順位は比較的しっかりできていて、お客様の望むのもを考えながらコンテストも忘れない、資格はその結果として今までやってきたことを試すような順序立てで取り組みました。

将来を改めて考えたとき、自分で独立を視野に入れ始める

そんな中、いよいよサロンを辞めて独立されることになりますが、これは前々から考えていらっしゃったんでしょうか?

いやー、実は全く考えてなかったです。30過ぎた頃から少し頑張り方を変えたいな、という想いが出てきました。手を抜けない性格なのもまたいけないんですよね(笑)、ここで少し自分のペースで新しくチャレンジしてもいいかなと思ったんです。そこで本当に思い切ってサロンに所属して働くことを辞め、時間に余裕を持った働き方を始めることにしました。

不安な中で決めた独立、それでもこの15年があるからできたこと。

独立を決めてからのことを少しお話いただけますか?

最初に本当に自分のサロンをオープンする時はもちろん不安でした。お客さまも本当に来るかなと。もちろんお金もかかりますし、今度は自分で全部経営面もやっていかなくはならないし、と。ただ、私は大きなことを決める時って全然迷いがないんですよね。このサロンの場所を決めた時も即決でした。最初は大きなターミナル駅近くでやりたかったんですが、看板も出せないようなマンションの一室に限られてしまうのは嫌だったんです。今サロンをやっている千駄木駅は住宅街ばかりなのでやっていけるかお客さまが来るか不安はありましたが、結果的にいい場所に恵まれました。

松本さんは、インスタ、ブログ等WEBでのPRも積極的にされていますよね。実際にいらっしゃるお客さまはどういった経緯でいらっしゃっていますか?

そうですね、このエリアはあまりネイルサロンが多くはないせいか、結局一番多いのはホームページからのお問い合わせです。インスタやブログなどを見てくれてる方は遠くから来てくれる人が多いですね!ターミナル駅からも来てくださっています。当初から、特にインスタは欠かせないなと思っていたので、とにかくフォロワー数増やそうと思い、フォロワーが多い方をとにかくフォローしまくってました。PRとして魅力的な写真の撮り方も、色々と上手な人の写真を見ては自分でやってみて。最近では、なるべく手が綺麗に見える様に撮影することを心がけています。爪単体というよりも、「手」が綺麗な方がお客さまからの評判はよく、撮影させていただいた写真をお客様にも送ってあげることで、お客様個人のインスタにアップいただくことにもつながったりしています。
また、お客さまの心理として、フォロワーの多いネイリストにやってもらってることや、コンテストで優勝してる人にやってもらってるっていうのが嬉しいという方も多くて、そのために頑張っていますよ!(笑)以前は、通過点として、トライしていたコンテストですが、現在は受賞そのものが武器となり、「コンテスト入賞してるネイリスト」ということからのご紹介も多く、糧になっています。

独立前と現在の働き方を比べて、率直な感想を教えてください。

独立前も楽しかったですけど、今の方が人間らしくいられるようになってますね(笑)働く時間も自分でコントロールできるようになってますし。
ただ、それは今だからそう感じる、ということであって、最初から独立してたら、うまくはいっていなかったと思います。あの辛かった時期も、忙しさに無我夢中で接客していた時代も、サロン時代があったから今成功できてるって心から思います。やはり、無理ができる二十代にサロン勤務をすることで、色々なことを素直に吸収できましたし、全ての経験はつながりますよね。

ネイリストの先輩としてアドバイスできること

松本さんが思うお成功するネイリストと挫折するネイリストの違いとは?

この15年の間、サロン勤務で色々な子を見てきましたが、確かにお店を辞めてしまうネイリストさんは結構いましたね。そういう子に共通することといえば、お客さまのご要望に答えられないことに強い葛藤を覚えてしまったりする、接客が苦手な子というのが多かったかもしれません。ネイルが好きで入ってきても、結局はネイルも接客業なので。
そういう観点から見て、また、多くの関東各地の店舗を経験して思うのは自分の性格に合うエリアを見つけるとやりやすいってことも大事なんです。私の場合は今の千駄木のように下町の雰囲気があっていたので、独立する場所を決めるのも下町の方でっていうのは決めていました。
接客もエリアの特性でまったく違ったりするんです。ですから、もし今、少し行き詰まりを感じているネイリストさんがいるとしたら、自分とお客様の層の雰囲気の違いも含めて一度見直してみてください。

今後ネイリストを目指す人、また新人の現役ネイリストさんへ向けてお願いします。

将来的に自分の目標をどこに置くのか、例えばサロンでキャリアを積んでいくのか、コンテストで賞の獲得を目指すのか、あるいは独立するのか、ネイリストとしての将来の道は色々選択肢もありますし、価値観によってもひとそれぞれ。夢は大きく持ってほしいです。でも、実現するためにはきちんと続けられなければ意味がないですし、スキルアップのための努力も体力も気力も必要です。環境も左右するでしょう、そこにはやはり自分自身がぶれずに進んいることが大事だと思います。そうするためには、自分にモチベーションを与えてあげることが一番簡単な方法です。たとえば私も、最初からお世話になった一つのサロンで働き続けることに何の疑問もありませんでしたが、それはきっと、今まで話をしてきたように、そのステージごとに明確な目標設定を持ち続けられたからだと思うんです。最初の就職のきっかけになった資格取得の際も、育成スキルに目が向いた時も、ライフワークとして出続けているコンテストもそう。無我夢中で走り続けた中でも、常に目標を追ってきましたし、結果的にその目標をクリアし続けたから今があるのかなと思っています。

そしてもうひとつ、先ほども少し触れましたが、接客が難しいと思っている人は特にそこを中心に考えることができれば苦手意識も無くなるのかなと。あとは本当に自分がお客さんとして行った時にされて嬉しい接客を自分も使うように意識するのも大切ですね!
その中で絶対に全ネイリスト共通で必要なことは「この人はどんなネイルを喜んでくれるか」を考えることです。この「ネイルが好き、可愛い」という感覚を、ネイリストもお客様も同様に思えたときの通じ合ったあの瞬間は全ての原点。だからこそ相手の立場に立って考えることができればクレームになることもないんですよね。経験が追いつかないうちは、気持ちだけは負けない気持ちで一生懸命頑張ってください。

15年間ネイリストとしてやってきている松本さんにお聞きするのはおかしな質問かもしれませんが…松本さんはネイリストという仕事は自分に合っているなと思いますか?

思います!ネイリストを目指す前、アパレル販売員時代は、「もう少しデザインがこうだったらいいのに!」と思うこともよくあったんです。でもネイルというのは本当に自分が思い描いたデザインそのものを作ることができるんですよね。それにアイディア次第でデザインは無限にあって、お客様の要望にギリギリまで答えられるんです。要望に沿えれば喜んでもらえますし、満足してもらえることにすごくやりがいも感じています。例えばストーンの色を一緒に選んだり、カラーも混ぜて微妙な色の違いでオーダーを受けたりというようにお客様とのやり取りの中でデザインを決めていくのがすごく楽しいんです。お客様と一緒にネイルを作ることを楽しめている気がして、そこも含めて私はネイリストという職業を選んで良かったと思っています。

今後の展望、計画もまたストイックに挑戦はまだまだ続く

「 東京ネイルエキスポプロ部門ネイルケア」で2位を獲得するなど独立されてから再びコンテストにも出始めているようですが、今後の目標など何か計画されていることはありますか?

今年はコンテストイヤーにしたいんです!実は、昨年コンテストに出た時には「これで賞が取れなかったらコンテスト出場はやめよう」と思っていたんですよ。ライフワークとしてずっと挑戦し続けてきた賞でしたが、ここまで結果が出ないならいったん諦めた方がいいのかなとも考えて。でもその時、ふと思ったんです。ネイリスト歴が長くなるにつれ、人から教えてもらうということをしなくなっていたな、と。そこで、私はここで一旦初心に戻ろう!とまた一念発起し、尊敬できる先輩のスクールに通ったんです。スクールに通うのは14年ぶりでしたが、やっぱり自分では気づけていない間違いってあるんですよね。それで改めてネイルの勉強をし直したらコンテストで賞が取れたんです!
自分のやり方でできるようになってしまうと誰かに教えてもらう機会ってなくなると思うんですが、時代も変化し技術も新しくなる中で、やっぱり自分だけで練習していくのは限界があります。そこのプライドを捨てて周りからのアドバイスをもらえればネイリストとしての幅がさらに広がるなと思ったんです。こういったことに気づけた今だからこそ、今年は特に積極的にコンテストに出場する年にしようと思っています。

インタビューでは一環して本当に朗らかで、ずっとお話していたくなるような温かい方、それでも一歩踏み込んでお話を伺っていくと、そこにはストイックで気骨のあるプロ意識がしっかりと息づく松本さん。その向上心は独立前も後も衰えず、むしろパワーアップしているようにも見えました。ネイリストとして店舗での勤務を経験し、ステップアップしていきながらも、コンテストで実績を積み、同時に資格も取っていく、、それを有限実行していくことがそう簡単なことではなかったことは誰の目から見ても明らかです。それでも、「ん~頑張ったんですよね、あのとき。」と笑いながら話している松本さんの原動力は、「ネイルが大好き!」ということに尽きるのかもしれません。ともすれば、軽くとらえられがちな言葉でも、松本さんからお聞きすると、15年分の歴史とともに、とても重みのある、大事な言葉となって心に入ってくるものがありました。松本さんのホームページにある言葉「サロンの帰り道、ネイルばかり眺めてしまうあの幸せな気持ちを、たくさんの方に感じていただける様、努めて参ります」きっとここに全てが集約されているんでしょう。独立された今からのステージもまた、大変楽しみです。

 

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